「流行ウォッチング」今昔① 1996年12月掲載

時々このブログでも紹介している日経産業新聞の「流行ウォッチング」コラムですが、実は私はこのコーナーができた当初からの執筆者です。他の皆様もお変わりではないようですので、執筆者が変わらずに長いこと続いている人気コラムなのでしょう。すでに20年くらい書いている記憶があります、私の記憶違いでなければ・・・。
最初の頃はワープロで書いていた記憶があり、原稿はどこかに保存されていると思うのですが、ちょっと見当たらず、手元にあるのは1996年頃からのものがデータで残っています。

そこで、その頃の原稿(掲載内容とは若干異なります)を紹介してみようと思います。月に1回くらいのペースでゆるゆるとスタートするつもりです。

第1回目は、1996年12月に掲載されたはずの原稿を紹介します。
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今年人気があり、話題性も高い香港。
返還まで1年を切ったあたりから、女性誌での香港特集は何度も繰り返され、テレビ番組でも何かと香港に事寄せた内容が多かったように思う。この傾向は来年7月の返還まで続く気配があり、旅行業界ではちょっとした香港フィーバーとなっている。

というわけで、実際に香港に行ってみた。例年と一体どういう点が違うのか。香港に通いはじめて約十年の経験からレポートする。
まず今年に特異な点としては、相当早めに予約を入れる必要があること。百万ドルの夜景がさらにパワーアップする十二月のクリスマス時期は、三ヶ月以上前でやっと、という感じである。さらに返還前後は、既にほぼ満杯という話を聞いている。


特異点の第二はすべてアレンジされたツアープランが目立つこと。現地の添乗員に聞いたところ、今年はバスを仕立ててあちこち巡る日本人観光客が増加しているとのこと。また初めて香港に出かける人も増加傾向にあるらしい。実際私が利用した便では、社員旅行のような一団が座席の三分の一強を占める状態にあった。

さらに現地では、英語の通じる人が少なくなった印象を持った。一流ホテルのレストランのウェイトレスやタクシー運転手など、これまでは英語が通じていたものだが、なぜか今回は通じないことが多い。昨年のほぼ同時期にも私は香港を訪れているが、その時には「英語が通じない」という印象はなかったので、急激に大陸系中国人が職に就いているのではないかと推測される。逆に日本語の達者な人がその分増えているので、さほど不便には思わないが。

しかし本当に香港で変わった点は、中国人観光客の増加だと聞く。今年から香港への旅行が自由化されたこともあり、実は日本人以上に中国人の団体旅行が増加し、現地旅行社は中国人への対応に追われている。
今のところは豪華にお金をつかう日本人が香港では主役扱いを受けている。
しかし政治の舞台であるAPECでのけ者扱いだった日本同様、ショッピングやグルメでも中国人に主役の座を奪われる。そんな予感のする今年の香港であった。
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この記事を書いて以来、香港には行っていないのですが、今はもっと中国化が進んでいるのでしょうね。返還前の香港には毎年のように行きましたが、ぱったりと足が向かなくなってしまいました。

この時期を境に、日本は硬直化した体制のまま、国際的な地位失墜が始まったと感じます。
1997年は日本経済においてエポックとなった年で、大手証券会社が倒産したり、銀行が倒産したりしました。

しかし今、事態はさらに悪くなっています。
香港に今行ったら、私はどんな感想を持つのでしょうか。想像したくないですね。