日本の貧困

OECD標準の算出方法という触れ込みで出された「相対的貧困率」が15%を上回っている、というニュースが世間をにぎわせていますが、こういう一見確からしいデータを出されると、本当にそうなのかどうかを疑ってしまうのが習性になっています。

で、調べてみました。

まずは厚生労働省のプレスリリースを見てみると、「2009年10月20日相対的貧困率の公表について」という案内がありますが、わずか3ページのデータのみが掲載されています。この中に、”国立社会保障・人口問題研究所”が貧困率についてデータを提供している、との一文がありましたので、これをキーワードに検索を繰り返してたどり着いたのが、次の発表資料です。

内閣府「生活困難を抱える男女に関する検討会」
第2回研究会「日本における貧困の実態」

2008年10月3日に開催された研究会に提出された資料のようですが、この資料を読んでいくと次のような記載が目に入ります。

”消費(所得)は他の次元とも高い相関がある”が、その相関は完全ではなく”貯蓄や財産(持ち家など)を考慮していない”

”一つの次元で貧困であっても、他の次元で貧困でない場合もある”

データを追っていくと、全人口における貧困率は15%オーバーで世界第4位と、これは報道のとおり。
続いて65歳以上で比較すると、日本は20%オーバーと全人口を上回りますが、順位は、アイルランド、ポルトガル、メキシコ、アメリカ、ギリシャ、オーストラリアに続いて第7位。

18歳~64歳の労働人口で比較すると14%未満で全人口より下がりますが、順位では、メキシコ、アメリカに続いて第3位となっています。
65歳以上だけなら貧困率が下がるということは、労働者層から高齢者層へ富が移転しているとも言えます。

貧困率の推移を上記各層に分けて記したグラフがありますが、これを見ると明らかなように1990年以降急激に悪化していることがわかります。


さらに属性別の貧困率では、高齢単身・単身ともに女性の貧困率が高いうえに、母子世帯においての貧困率が異様に高いように見えます。
これは所得をベースにしていることに原因があると思うのですが、資産を食い潰して生活をしている人たちがこの中に含まれているものと考えられます。
また母子世帯・父子世帯ともに成人した子供と同居したケースもこの中に含まれていることから、いわゆる子供を抱えて生活が難しいという人々ばかりではありません。

しかも高齢者では、有職者のほうが男女ともに貧困率が高いという結果になっており、データ上は”貧困”とされる高齢者には、やはり資産を食い潰して生活する人々が多数含まれることの傍証となっています。

またこのレポートの中では市場所得(稼動所得・財産所得等)の低下が貧困率に深く影響しているとの見解を示しています。バブル崩壊以降、特に最近10年間程度で、日本人の所得はおよそ100万円下がっています。この影響のほうが貧困率を高めているわけで、厚労省がこの時期にこのデータを公開している意味を図りかねます。

結局、経済成長率を高め、所得をあげる政策のほうが重要であるということを隠したい、民主党政権の陰謀なのではないかとさえ勘繰ってしまいました。