企業の採用基準と学生の自己評価基準

「週間ダイヤモンド」7月11日号に「2010年新卒就職戦線総括」と題する特集が掲載されました。この中に今年5月に実施されたアンケート調査の結果が掲載されています。
特に注目すべきは、上の写真にある”企業が採用選考に当たって重視している点と学生のアピールポイント”でしょう。
企業が重視しているのは、「対人コミュニケーション力」「行動力」「基礎学力」「考察力・論理的思考」の4ポイントで、いずれも学生側からはアピールポイントとして認識不足とされています。
一方の学生は、アルバイト・サークル・ボランティア活動をアピールしたがっており、すれ違っているのです。

このアンケート結果を先週の授業の中でとりあげ、学生に対して説明しました。実際の採用の現場、そして採用後にどのような評価を企業は下しているのか、についてです。

まず採用の現場では、うつ病にならないような人間、すなわち心の健康度を見ています。以前このブログにも書きました(グループディスカッションの効能 )が、この健康度は対人コミュニケーション能力の高さがひとつの目安になっていると考えています。

次に配属先では、やはり「基礎学力」「考察力・論理的思考」の2点が特に評価を分けると思われます。この点についての私の実感ベースでは、読み書きそろばん、ができるかどうかに絞られてくると思っています。

まず読み書きですが、これは社内メールに端的に現れます。
タイトルのつけ方、用件のまとめ方を見れば「頭良いなぁ」とか「こいつダメだなぁ」といった判断が簡単にできてしまいます。特に用件のまとめ方が下手な社員への評価は低いですね。

箇条書きにできない、要領よくまとめられない、といった時点で、私は「考察力・論理的思考」が欠けていると思います。こういう社員に共通しているのは、数字が読めない、すなわちそろばん能力が低いことです。
私は学生に、そろばん能力とは中学校卒業レベルの数学である、とよく言います。中卒レベルの数学ができれば、企業経営における数字の管理など、なんとでもなります。

またこのレベルの数学ができれば、文章を読んで、その中身を立体的・論理的にイメージする能力が備わっているはずです。

いわゆる文章題と考えていただくと、実際のビジネスにおいては、読み書きは、ビジネス構造を説明および理解する能力であり、そろばんは、文字で書かれた内容をビジネスモデルや業務フローなどに置き換えることができる能力だと考えています。もちろんそのビジネスモデルと業務フローで儲かるかどうかまでわかることが前提ですが。

つまり基礎学力、特に数学を通じた論理的思考および考察能力の高さが、できる人間かそうでないかを分けると、私は思っています。だからこそ数学は徹底して教育すべきだと考えているのですが、実際にはそうではないようです。

そもそも数学が好きな中学教師はいるのでしょうか?
数学が好きな先生に習えば、学生も好きになるはず、というかその確率が高まるはずです。
少なくとも私の周辺には、数学の好きな先生に学んだ形跡のある学生は少なく、教師の採用基準をもっと深く考察すべきではないのか、と考え込んでしまいます。