「課題先進国」日本


東大総長の小宮山宏氏による「「課題先進国」日本―キャッチアップからフロントランナーへ」 を週末に読了。
印象に残ったところを、少し紹介します。

第3章 課題解決ビジョンを具体例で考える より

「日本の政治とか役人のシステムは、典型的にキャッチアップ型になっていた。実際にキャッチアップをしてきたのだからそれは仕方のないことであったが、そのために日本の政治家や役人の周辺にはシンクタンクがなかった。外国のものを導入すればいいのだから、頭のいい人が外国のものを見てくればそれでよかったわけである。」

だから今でも海外に議員さんたちは、公費を使って研修に出かけます。これって意味がないですよね、いまどき。


「日本人の心に、お上がなんとかするという上意下達の意識が脈々と流れている。全体像を把握するのが困難な現在、お上も社長も学界の権威も、一人で正しい結論を導き出すことなどできはしない。私たちは議論の仕方を身につけなければいけない。醸成すべきは議論の風土である。」

確かに議論下手ですよね、日本人は。
少し反論されると人格を否定されたような反応をする人が多いので、議論にならなくなります。


「かつて、受験競争を緩和するためと称して、都立高校に学校群制度を導入して失敗した愚行を繰り返してはならない。導入後、予想通りに、日比谷、戸山、新宿、両国、小石川、西など、有力都立高校があっという間に衰退し、私立が取って代わり、その結果受験競争は中学へと若年化した。結局、受験戦争が激化したのだ。(中略)明治維新以来、たとえ貧しい家庭の子女であっても、本人が優秀で努力するならば、よい大学に入れるという日本の平等社会の基盤は破壊されつつある。
この大失政の原因は、1億枚ある部分全体像の中から、たった1枚の像で政策を実施したことによる。『平均化させればみんなよくなる』という政策者の意図に反して、『自分だけは良い大学に入りたい』という像で社会は反応したのだ。」

教育再生会議の委員もつとめる著者の、教育に対する考えと提案は、有用なものだと思います。
この本は、教育関係者にも広く読んでいただきたいです。