逆行する日本3 <フィルタリング>

学校裏サイトがいじめの温床になっている、などといって、特に携帯電話によるインターネット利用に制限を加えようとする法律について議論されています。
結局、キャリアに対して「フィルタリングサービス」の導入を義務付けることで、与野党が合意したようです。
携帯有害サイト規制合意 与野党が新法案、閲覧制限を義務付け

フィルタリングの導入については古くからあり、私の記憶が正しければ、10年以上前にもそういう話が出たことがあります。
当時私はパソコン通信の会社に席があり、サービス面での責任者を務めていました。当時の通産省の管轄なので、お上主導かどうかはともかく、主要なパソコン通信会社が集まる協議会が設置されており、業界内での情報交換の場となっていました。そういう会にはできるだけ若い人に参加してもらうのが私の考えなので、最も年若い部下に定期的に参加してもらっていたのですが、ある日、彼から困りました、という話を聞かされます。
それがフィルタリングの導入です。
当時から既に有害サイトを締め出そう、という動きがあり、これに対してプロバイダー(既にインターネット接続サービスが始まっていたような、そうでなかったような・・・・)はなんらかの対策をすべき、というのが通産省の考えでした。
そして、ご丁寧にも NEC が作ったフィルタリングソフトを使え、というのです。

当然というか、これに対してパソコン通信会社は拒絶反応を示しました。筆頭は当時最大だった NiftyServe で、NEC 製のフィルタリングソフトを利用する根拠がありません。
メーカー間の問題だけでなく、パソコン通信かインターネットかに関わらず、プロバイダーには、掲載する情報について利用者に情報を削除するように注意勧告できるとする利用規約が既にありました。削除することにより、その被害を食い止めることができたのです。私たちはこの規約を盾に、結局フィですから、被害が発生した場合には、まずは注意勧告、そして最悪の場合にはホームページそのものをルタリングソフトの導入を止めたのでした。

携帯電話の場合とは違うよ、という人がいるかもしれませんが、パソコンで見られるものにフィルターをつけたところで、何の意味があるというのでしょうか。
むしろ、きちんと管理されている企業と、何も管理していない企業を分けて、大人にもわかるように告知するくらいの工夫が必要でしょう。今回の携帯電話フィルタリングの問題は、世代間の情報格差問題でもあるからです。親世代が携帯でインターネットを利用しないことが、子供の情報空間を理解できないものにしており、この理解不足がフィルタリング導入を支持する背景になっているためです。

たとえば「魔法のiらんど」社では、早々に「iポリス」という監視業務を行っています。第三者機関が作られるようなので、こういう企業に対しては、優良企業としてプライバシーマークのようなものを考えていただきたいです。

Web2.0 以降、それまで以上に、インターネット利用者は顔の見えない第三者から非難される危険性にさらされるようになりました。しかし、非難されることを恐れるよりも、そのような謂れのない非難をかわすようなスキルを身につけることのほうが、本当は必要でしょう。
フィルタリングされて、きれいでやさしい情報空間だけを歩いてきた人間が、大人になってから揚げ足とりをされるような場へ放り出されることのほうが、実は問題なのではないかと考えます。

子供を有害な情報から守る。
こう言われて反対できる人は少ないと思います。しかし、有害情報のほとんどが匿名であることに思い至れば、匿名ではなく実名性に移行するような方向に業界を誘導するほうがより健全であることに気づきます。
なんでもかんでも隠すこと、経験させないことが、どれだけ子供たちをゆがめているか。

頭のいい子供は、大人の見ていないところで、結局有害情報に接触するのです。情報をシャットアウトする前に、インターネットの使い方について基本的な教育を行うことこそ、最も有益な子供を守る行動と考えます。