大学で教えていること(2)

大学で教えていることの2つ目は、広告産業についてです。
授業の最初に話をするのが、テレビ放送というビジネスモデルです。
当時の技術では、電波を受信している個人や家庭を特定することができなかったので、受信料という形でサービスの対価を得ることができなかった。よって、誰がどこでサービスを享受してもいいように、番組の合間に広告を挿入することによって、視聴者ではなく広告主から収入を得るビジネスモデルになった、という話です。
つまり、テレビ広告を見てモノを買う消費者は、モノに上乗せされた広告料を「buy」という行為によって支払っているのです。

学生に広告産業の説明をすることは、メディアの歴史と誕生した背景について十分に理解させることにつきます。なぜなら、彼らは物心ついたときには携帯電話が普及し始めており、テレビよりもインターネットのほうに馴染みがあるためです。
ですから、メディアによって広告が「効く」年代の説明をするにしても、そのメディアはいったいいつ頃が最も隆盛したのか、という話からはじめます。

また、広告は消費者の心をつかみ、モノを買ってもらうための仕掛けです。
その仕掛け作りの裏側には、詳細なリサーチとマーケティングが存在します。
広告産業の講義には、こういう情報も欠かせないため、消費者がどのような経緯を経て、今のように(つまり学生)なったのか、について解説する必要も出てきます。

私は授業の中で具体例を度々出しますが、彼らのわかる範囲に限っています。それはコンビニと携帯電話です。これ以外の話をどれほど詳しくしたところで、感覚的な理解にはなりません。
授業をスピーディーに、円滑に進めるためには、学生の最も身近なところで解説するしかないというのが私の結論です。
そうでなければ、たった15回の講義で、広告産業の構造を説明するのはとても無理です。

つい先日、電通から「日本の広告費2007」が、速報として発表されました。
初夏に予測されたとおり、インターネット広告は雑誌広告を抜きました。メディアの栄枯盛衰が今ほどダイナミックに進行している時代はなかったのではないか、という印象です。
テレビ局は電波料としてわずか35億円程度しか支払っておらず、一方の携帯電話が支払う多額の電波料によって、テレビ局の地デジ化を支えている事実すら、一般にはほとんど知られていません。
しかも国土の狭い日本において、デジタル放送を行うのに、わざわざ都道府県レベルでその準備をすることの無駄についても報道されません。
テレビ局は2年の免許制であり、その株主には新聞社やラジオ局が並ぶため、既存メディアはこれらの事実、または専門家の主張を取り上げることすらしません。わずか35億円の電波料を支払って約2兆円をたたき出しているのですから、そのうまみがいかに大きいかわかるというものです。
このあたりについては、池田信夫先生の「電波利権 (新潮新書)」に詳しいので、学生にも参考図書として紹介しています。

いずれにせよ、毎年インターネット広告の影響力が強まってきているため、いきおい政治的な視点も含まれます。もちろん台風の目であるGoogleの話は欠かせません。